排泄介助 介護現場の裏話(日記)

おむつ交換の屈辱からグーパンチで抵抗する認知症の女性

2020年8月1日

高齢者の手

今回はオムツ交換の時の抵抗がどんどんひどくなってしまったMさん(女性)の話です。

 

どこまでひどくなってしまったかというと、グーで殴る唾を吐きかける大声で叫ぶ。などです。

 

なぜこうなってしまったかという話をする前に、まずはMさんの特徴から。

 

Mさんの特徴
  • 年齢90代後半
  • 女性
  • 軽い認知症(会話は成り立つ)
  • とても上品で高貴な身分のお方
  • 使う言葉も驚くほど上品
  • 挨拶やお礼も丁寧に返して下さる

 

こんな方がグーで殴るなんて想像つきませんよね~。ではなぜMさんはこのように暴力で抵抗することになったのでしょうか。

 

 

Mさんが施設に来たのは2回目の大腿骨骨折の後。

もともと車椅子での生活をしていたのですが、一人でトイレに行けなくなってしまった事をきっかけに入所してきました。

良くある話です。

 

 

お上品な高齢者

画像はイメージです。

Mさんは完璧なまでのお嬢様。

とても上品な話し方をするので、スタッフのみんなまでもが上品に話すようになっちゃったりして(笑)

 

一年のほとんどが海外旅行をして過ごしていたので、イタリアやフランスの話がとても大好きでした。

その頃はよかった・・・

 

体の状態はというと、片足はマヒしていますが、まぁ何とかつかまりながら立てるという状態。

 

リハビリも行ってはいるのですが、本人はもうあまり何もしたくないようで気力がありません。

 

夜間はポータブルトイレを使用。日中はスタッフ付き添いでトイレに行きます。

 

介助している時に、Mさんはよくこのように言っていました。

「こんな事、あなたたちみたいな若い方にさせて申し訳ないですね。」

夜間も、「大変申し訳ないのですが、トイレに座らせてもらえませんか?」このように言っていました。

 

ところが・・・

次第にポータブルに座ることが出来なくなるほど状態が悪化してしまいました。

 

 

医師からも関節に負担がかからないようにベッド上でのオムツ交換を指示されました。

ベッド上でのオムツ交換になったあたりから、Mさんの様子は少しずつ変化していきます。

 

 

オムツ交換時、「とても恥ずかしくてしょうがないの、暗くしてくださらない?」と言います。

 

くださらないって言われても・・・暗くって…見えないんですけど。

まぁしょうがない夜間は暗い中でオムツ交換をしましたよ。

 

オムツ交換される羞恥心については私たちもさんざん勉強しているので、出来る限りの工夫をしています。

Mさんはなんとか我慢をしてくれているようでした。

この状態がしばらく続きます。

 

 

次第に、Mさんの状態は1年ほどでこのように変化していきました。

  • 認知機能が低下してきました。
  • 持病の腎臓病も悪化してきています。
  • 食事の摂取量が極端に減りました。
  • 日中は寝ていることが多くなりました。
  • 体もどんどん痩せてきました。

 

夜中に一人でしゃべったり、歌を歌ったり、お経を唱えたりということも増えてきました。

これあるあるですが。

 


すでにまともな会話が出来なくなっており、つねに一人別の世界にいます。私たちの声掛けはほとんど伝わらない状態です。

そんな状態のMさん、介助されているという感覚も当然ありません。

 


オムツ交換の時にズボンを下ろそうとすると、ひどく抵抗するようになりました。


「きゃ~!何するの?この変態!あなた女でしょ?スケベね~。そんなことしていいと思ってるの?警察呼んでください。助けて~レイプされる~~!

 


毎回このように叫びながら抵抗します。

どうやらMさんにはオムツ交換がレイプと紐づいてしまって、交換の度にこのように暴れるようになったのです。

 

Mさんからしたら、レイプされると思い込んでいるので、そりゃぁもう必死に抵抗します。

陰部洗浄でもしようものなら、もう完全に被害者になりきっています。

「あぁ、私はもう終りね。さっさと殺して下さい。」・・・

 

こんな感じなので、オムツ交換は基本2人ですることになりました。一人がなだめながら手を抑え、一人がささっと交換する。

もちろんそれでももちろん抵抗はします。

「どうしてこんな私みたいなおばあさんにエッチなことするの~!」

 

私たちもいきなり無理やりしているわけではありません。交換前にはきちんと説明していますし、ズボンを下ろす時も声掛けしながら丁寧に下ろしています。

 

様々な工夫も空しく、結局は激しい抵抗にあいます。

まぁよくあることなのでしょうがないです。

 

こうなればなるべく相手の体力を消耗しないようにささっとすませてしまうという方法に切り替えるしかありません。

 


問題は夜間。

夜は一人介助です。

 


朝、夜勤の人の顔を見るとおでこが赤くなっていました。

交換中にグーで殴られたようです。

 

さらに口腔ケアで指を噛まれて出血。時々顔に唾を吐かれることもあるようです。

 

その一番大変な状態も思えば3か月ほどでした。

その後は、もうすっかり弱って抵抗することもできず、食事もほとんど摂取せず、家族も延命を希望しなかったので、そのまま持っているエネルギーを全て使い切って亡くなりました。

 

 

大人のおむつの画像

オムツ交換時の抵抗はよくあることです。

特に認知症の方の抵抗はよくあります。何をされているか本人は分からないのですから当然です。

 

もともとプライドが高く、恥ずかしい、悔しいと思う気持ちが強すぎて、オムツ交換に耐えられないM子さんの様な人もいます。

たぶん本人は大きな屈辱感や敗北感の様なものを感じているんだと思います。

 

本当にごめんなさいね、Mさん。

 

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